大学では、まず、力学、電磁気学、量子力学、熱?統計力学などの科目で物理学全般の基礎となることがらを学びます。力学や電磁気学は高校でも習いますが、大学では微分や積分などの数学を使い、より体系的にそしてより厳密に勉強します。量子力学は原子?分子や素粒子のようなミクロの世界での物理を考えるのに必要な力学で、大学で初めて勉強する科目です。熱?統計力学では、ミクロの世界の原子などの振る舞いが私たちの住むマクロの世界の物質の性質をどのように支配するのかを学びます。それらの基礎的な学習を経ると、さらに専門的な科目によって、素粒子、原子、分子、ナノ構造の物理学、固体の性質を研究する物理学、電波や光の物理学、宇宙に関する物理学などのようなもっと高度なことが理解できるようになります。●磁気?低温研究グループ 私たちのグループでは、自然界に存在する92種類の元素を組み合わせて1000℃以上の高温度で溶解して作成した「新物質」を-273.15℃の絶対零度近くの極低温に冷却して、磁場や電場、さらに圧力や熱に対する反応を観測しています。結果を物質内に莫大な数含まれる電子の量子的ふるまいとして捉え、内部で何が起こっているかを研究します。電子の集団が引き起こす、強い磁力や超伝導といった素晴らしい機能のさらに上をゆく、新しい物理特性を持った「人類の未来に役立つ物質」の発見が私たちの目標です。●ナノ物理研究グループ 私たちの身の回りの物質は原子によって構成され、原子配置あるいは原子間の結合様式の違いによって、様々な興味深い性質が現れます。私たちのグループでは、原子レベルでの構造を解析するとともに物質が示す様々な性質を測定し、物質の微視的構造と物質の性質との関連を調べています。そのために、シンクロトロン放射光を用いて構造解析を行ったり、いろんな条件の下で電気的?光学的性質を測定しています。私たちと一緒に“ナノスペースの世界”を探検しましょう。 1年次では理学の基礎的な科目を幅広く学びます。2~3年次には進度に応じた学生実験が配置され実験を重視した教育がなされます。また、4年次では全ての学生がいろいろな研究室に分かれて卒業研究を行い、自分で問題を探求し解決できる能力を修得します。 このような物理学の教育とともに、教養科目による教養教育も大学全体がサポートとしていて、豊かな教養を身につけるように配慮されています。●素粒子?宇宙物理学研究グループ 宇宙創成の謎や現在の宇宙で観測される天体現象の機構の解明に迫るための理論的もしくは実験的な研究を行っています。宇宙から消えた反物質の謎、暗黒物質の存在とその正体、初期宇宙が指数関数的に膨張したインフレーション、ニュートリノ質量の起源、発見されたヒッグス粒子の性質などが主な研究トピックです。これらの謎について、大型加速器に代表される高エネルギー物理学実験やガンマ線?ニュートリノ、さらには重力波による宇宙観測との照合に基づき、物理学の標準理論に残された謎を解決する新しい物理法則の理論を構築?検証しています。●電波?レーザー研究グループ 私たちのグループでは、マイクロ波から紫外光に至る電磁波を使って、気体の状態の分子をはじめ、狭い空間にとじこめた原子、極低温に冷えた分子など、様々な状況下の原子?分子?イオンと光にまつわる物理現象を研究しています。このような研究を通して、基礎的な物理法則の検証や何万光年も離れた遠くの宇宙に存在する分子を探求する電波天文学に必要なデータの取得をしています。また、神岡の東京大学宇宙線研究所のKAGRAプロジェクトに加わって、重力波を検出するための光学装置の製作や開発研究を行い、重力波天文学の進展に寄与しています。プログラム紹介/物理学プログラムアーク溶解炉による希土類金属化合物の作成放射光施設でのXAFS実験振り子を用いた重力加速度の測定実験理論グループゼミナール風景電子回路実習重力波検出用の鏡の最終準備12カリキュラムラボラトリー
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