未来を拓く:おもしろい授業?おもしろい研究

日本語学演習

日本語学は日本語を対象とする学問分野ですが、一口に「日本語を対象とする」といっても、様々なアプローチがあります。適切な例を自分で作ったり、多くの人にアンケートを取ったりすることもありますが、何らかの手段で用例を探してくるという方法もポピュラーなものです。その際、用例はできるだけたくさんあると都合が良いのですが、どうすれば多くの例を(できれば簡単に)集められるのでしょうか?

ことばをデータ化しておいて、それを検索できるようにすれば、大量の用例を瞬時に集められるはず!と考えた人は既に多くいて、現在ではそのようなデータベースが整備されています。このような、言語研究のために必要な処理を加えて作られたことばのデータベースを「コーパス」と呼びます。現在の言語研究では、コーパスを適切に使いこなすことはもはや必須のスキルと言ってもよいでしょう。

前置きが長くなりましたが、日本語学演習では日本語のコーパスの使い方を演習形式で学びます。パソコン室に集まって実際に手を動かしながら、コーパスの検索方法や集めたデータの処理?分析方法を習得してもらいます。

コーパス検索用アプリケーション「中納言」の画面

コーパスを検索するにあたっては検索用アプリケーションの使用をしっかり理解することが必要であり、またいろいろな用語を覚えることも大切です。データの分析にあたっては、Excelを使いこなすことも求められます。人文学部の学生の中にはパソコンの操作が不得意だという人もいますが、授業を受けて繰り返し練習することで、最終的にはどの学生もコーパスの検索、データの分析ができるようになっていきます。演習形式の授業ですので、分からないことがあったらすぐに教員や周りの学生に聞くことができ、これは大きなメリットだと思います。スキルの習得にあたっては、人が集まる「授業」という場はぴったりなのでしょう。

授業では、グループでの活動も取り入れています。単に教員が指示した通りに作業するだけでなく、学生自身が課題を考えて、そのために必要な手法を選択できるようになることが重要だと考えています。コーパスの検索には様々な工夫が必要なので、学生たちは各々グループで話し合って検討していくのですが、その姿を見ていると、今まさに学びが行われている場を目撃しているのだなという気分になります。授業ではコーパスを使ってクイズも作ってもらうのですが、各グループで作ったクイズを出し合っているときは、毎回とても盛り上がります。

コーパス実習の一コマ

コーパスは便利ですが、言ってしまえばただの道具に過ぎません。この授業は便利な道具の使い方を身につけてもらうことが目標の一つになっていますが、それで終わってしまってはつまらないでしょう。コーパスを使って何ができるか、自分が知りたいと思う問いに答えるためにはどうやってデータを処理すればいいか、試行錯誤しながらあれこれ考えられるようになることが、本当に大切な目標だと思います。そうした態度を身につけることが、この授業を「おもしろい授業」にしていくのです。