富山で探る雪と雨の境界
スマートフォンの天気アプリやテレビニュースなどで見ることができる雨雪の分布は,気象レーダによる観測に基づいています。気象レーダから発射された電波は,その一部が雨粒や雪片(まとめて降水粒子と呼びます)に反射されて戻ってきます。戻ってくる電波の強さは,降水粒子の相(液体?固体)や大きさ,形などに関係します。雪片は雨粒に比べて非常に多様であるため,気象レーダによる推定を難しくしています。もっと難しいのは解けかけの粒子である霙(みぞれ)です。みぞれがどんな大きさ?形をしていて,どのくらいの速さで落ちてくるのか,その実態はほとんど明らかになっていません。 みぞれは,落下中の雪片など(固体粒子)が気温0℃の層を通過して解けはじめることで形成されます。したがって,みぞれ粒子をよく観測できるのは,「冬季の地上気温が0~数℃で,かつ多くの雪が降る」地域です。日本では…そう,北陸地方です。
私の研究室では,降ってくる雨や雪を撮影する機器を大学の建物の屋上に設置して,毎冬,観測を続けています。富山は気候条件が良く,雨粒?雪片?あられ?みぞれなど,多様な形状の粒子の画像が,ひと冬で50万枚以上撮影できます。これらの膨大な画像から,画像解析手法や機械学習を駆使して,粒子の形状を統計的に明らかにしていきます。 日常の現象も「身近=よく知られている」とは限りません。身近な疑問に向き合うことが,天気予報の精度を高め,空を見上げる楽しさを広げてくれます。




