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体内環境を弱アルカリ性に保つクエン酸塩が抗がん薬によって誘発される末梢神経障害の予防または治療に有効であることを発見

本研究のポイント

?体内環境を弱アルカリ性に保つことが、抗がん薬パクリタキセルによって誘発される機械的アロディニア※に対し、予防および治療効果を示すことを動物実験において明らかにしました。
?化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN :Chemotherapy-induced peripheral neuropathy)の発症を回避する上で、有力な選択肢を臨床現場に提供できることが期待されます。

研究概要

 富山大学学術研究部薬学?和漢系 応用薬理学研究室の歌大介准教授および日本ケミファ株式会社の中村英生研究員らの研究グループは、体内環境を弱アルカリ性に保つことで、パクリタキセルによって誘発される機械的アロディニアの発症が抑制されることを動物実験において実証しました。体内でアルカリ化作用を示すクエン酸塩をパクリタキセル投与前から適用した場合、機械的アロディニアの発症が抑制されました。また、発症初期に適用した場合、それ以上症状が重症化することを抑制したことから、CIPNの予防または治療に対して有望であることを見出しました。
 本研究成果は、「International Journal of Molecular Sciences」に 2025年4月3日(木)(日本時間)にオンラインで掲載されました。

研究内容の詳細

体内環境を弱アルカリ性に保つクエン酸塩が抗がん薬によって誘発される末梢神経障害の予防または治療に有効であることを発見[PDF, 479KB]

論文情報

論文名

Potassium/Sodium Citrate Attenuates Paclitaxel-Induced Peripheral Neuropathy

著者

Daisuke Uta*, Hideki Nakamura, Kengo Maruo, Kanoko Matsumura, Yohei Usami,Toshiaki Kume

掲載誌

International Journal of Molecular Sciences

DOI

https://doi.org/10.3390/ijms26073329

お問い合わせ

富山大学学術研究部薬学?和漢系
准教授 歌 大介

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